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Advice from doctors and midwives
曽根崎産婦人科医院 理事長・院長。大分県で、父で故・昭三氏が開院して以来、50年以上にわたり親子三世代で地域の医療を支える。医院では23500人以上の分娩に立ち会う。
ネットでさまざまな情報があふれていることもあってか、出産に夢や理想を追求する方が増えている印象があります。たとえば、無痛分娩を希望される方も多いですが、医療機関の現状として受けられる病院のほうが少ないのが現実です。それで思った通りにいかずに落ち込まれる方もいます。痛みを恐れる妊婦さんも多いですが、基本的に普通分娩では助産師か医師が常に寄り添うため、それにより陣痛の痛みが緩和され、安心して乗り越えられたという声もいただきます。
一方で、元気な赤ちゃんを生むためには妊婦検診を10か月間きちんと受けて、健康状態を保ち続けることの大切さをあまり意識していない方もいます。特に妊娠中は、お腹の赤ちゃんのためにも栄養面でバランスの良い食生活を意識することが大事です。太りすぎると胎児が大きく育ち、産道にも脂肪がつくため難産になりがちですが、最近は痩せすぎて問題のある妊婦さんもいます。肉も魚も野菜も偏りなく食べてほしいです。
授乳のお悩みですね。出産したらすぐにお乳が出て赤ちゃんが飲んでくれると思われがちですが、現実はうまくいかず悩まれる方が多いです。最初から焦らなくていいので、ママの胸の形や赤ちゃんの吸い方の特徴を見ていきながら、足りなければミルクを足して、ゆっくり母乳育児を進めていけばいいと思います。完全な母乳育児ができたら理想だと思いますが、ミルクや混合育児はパパのサポートが得られるためママの息抜きになるという面も。ママのメンタルヘルスも大事な側面なので、ちょうどいいバランスで進めたらいいと思います。
最近のパパは妊娠中から母親学級に参加するなど、夫婦一丸となって子育てをする意識の方が増えました。普段から料理や洗濯などの家事も行い、産後は沐浴やおむつ替え、着替えなどできることを行っているパパも多いようです。とはいえ、仕事で忙しくてなかなか育児に関われない方もいます。そういう場合は、実家の親や行政などなるべくたくさんの人の手を借りられるような体制を整えてあげてほしいです。
ママもパパも不安なのは誰しもみんな同じです。一つひとつ前向きに、周りのサポートを得ながら出産や育児を楽しんで進めてもらいたいと思います。
曽根崎産婦人科医院の助産師。
自身も4人の男児を育てた経験があり、定年を過ぎた現在もベテラン助産師として多くの妊産婦に寄り添い続ける。
出産を迎えるにあたり、妊娠中から準備をしておくことが、産後の生活をより楽に、そして幸せに過ごすためにとても大切です。産後はホルモンの影響で不安を感じやすくなるため、普段から周囲に些細なことでも相談できる習慣を作っておきましょう。パートナーや家族、友人、助産師など、信頼できる人に話を聞いてもらうことで、心の負担が軽減されます。
また、頼れる人やサポート体制を事前に整えておくことも安心感につながります。
産後の育児に慣れてくると不安も減っていきますが、「産後うつ」に陥ることもあるため、周囲のサポートが重要です。行政の支援や相談窓口を調べておくことで、いざという時に助けを得やすくなります。
気分転換の方法を見つけておくことも大切です。たとえば、好きな飲み物や食べ物を楽しむこと。たとえばチョコレートを1枚食べてホッとする時間を作る、そんなことが心のケアに大切です。
さらに、パパに料理を覚えてもらうのもおすすめ。妊娠中から少しずつ練習してもらうと、産後に負担が減り、ママの気持ちも楽になります。
情報をネットで調べることも増えますが、赤ちゃんとの大切な時間をスマホで奪われないよう気をつけてください。夫婦での素敵な時間を大切にし、元気な赤ちゃんを育てていくことが何より大切です。初めての出産に不安もあるかもしれませんが、周囲のサポートを上手に活用し、素晴らしいスタートを切れるように準備を進めてくださいね。応援しています。
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Checklist for Dads
ママが本当にしてほしいことってなに?
パパ・ママ一緒にチェックしよう!
最近では約9割のパパが立ち会い出産を行っています。ママの腰を上手にさすってあげるパパもいれば、痛くてイライラしているママに怒られているパパも。初めての出産で、ママは不安でいっぱいなので、基本的には手を握ったり、そばに寄り添っているだけで安心します。
育児中のママは、睡眠不足で孤軍奮闘してがんばっています。パパは寄り添って話を聞いてあげるだけでなく、「大丈夫だよ」「よくがんばっているね」と褒めて、認めてあげることも大切です。逆に、「がんばれ」や「手伝うよ」という言葉はNG。ママに追い打ちをかけたり、他人ごとのように聞こえたりするので要注意です。
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Stretching for couples
妊娠中にはお腹が大きくなることで反り腰になると共に、バランスを保つために上半身は猫背になって頭や肩を前に突き出した姿勢となります。
それによって肩から首周りの筋肉は引き伸ばされて緊張してしまい、巻き肩やストレートネックとなって肩こりを発生させます。
さらに産後は赤ちゃんの抱っこや授乳でそのような姿勢を継続してしまい、ますます肩こりが定着してしまうのです。
そんな頑固なママの肩こり改善のために、パパと一緒にできるストレッチを紹介します。
ママは背筋を伸ばして両腕を腰の後ろに当て、上を向くように首を反らします。
パパは背中側から両肘を取り、ゆっくり背中側で合わせるように近づけていきます。
ママが気持ちいいと感じるところで5秒ほど静止します。
1セット5回くらい。
授乳後にこまめにするのも良いですし、お風呂上がりなどもおすすめです。
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Q & A
栄養価の高い食べ物があふれている今は、むしろ食べ過ぎや偏りに要注意です。不足しがちなカルシウムや鉄分に加え、葉酸も積極的に摂取しましょう。つわりで食欲がないときは無理をする必要はありません。でもせめて水分は摂りましょう。
時間や量は気にしなくて大丈夫です。赤ちゃんがほしがるときに、ほしがるだけあげてください。ただ、いつまでも乳首を離さない、または授乳後すぐに泣く場合は母乳不足とも考えられます。ミルクを少しだけ足してあげる方法もおすすめです。
おむつ離れが遅くても成長に影響はありません。いくつになっても、ずっとおむつをしている子はいません。いつかはおむつを外せて、きちんとトイレで用を足せるようになります。焦らず、お子さんのペースで大丈夫です。
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Support Utilization
頼れるものは全部頼ろう!
パパ、じいじ、
ばあばなど...
子育て支援センター
産前産後
支援ヘルパーなど...
実家が遠方である、もしくは親が現役で働いているといった理由で実家を頼りづらい方も増えています。育児をパパと分業するだけでなく、行政サービスも積極的に使ってみてください。今は国の後押しもあり、自治体ごとに多様なサポートが用意されています。
SOSを出したり、家族以外に頼ることが苦手なママも少なくありませんが、ママが安心して笑顔で子育てできれば赤ちゃんも落ち着きます。様々なサービスを活用してママの負担を軽くし、育児を楽しみましょう。
各自治体では、それぞれが独自の産後サポート事業や育児相談などを行っています。
自分の住んでいる地域のサービスを調べたり保健センターに相談し、自分に合うもの・必要なサービスを知っておくと出産後の安心感が変わってきます。
行政サービスをどんどん活用して、ほっと一息つきながら子育てを楽しみましょう。
※内容や料金、条件などは自治体によって異なります。詳細についてはお住まいの自治体にご確認ください。
主なサポート | 内容 | 料金 |
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子育て支援センター | 保健師や保育士が常駐し、育児の悩み相談を受け付けたり、発達に合わせたアクティビティ、母親教室などを提供しています。子育てひろば・親子ひろば・子ども家庭支援センター・子育て支援ルームといった名前で運営されていることもあります。 | 無料(プログラムによって有料の場合もあり) |
産前・産後支援 ヘルパー |
産前・産後の育児や家事を、ヘルパーが自宅に訪問して支援するサービス。洗濯や掃除、兄弟の世話、沐浴介助など様々なサポートを得られます。 | 規定時間内は無料、 もしくは数百円~ / 1時間 |
産後ケアセンター | 赤ちゃんを預けてゆっくり休めるデイサービス・宿泊サービス。食事がいただけるほか、カウンセリングや骨盤ケアなどのプログラムを用意しているところもあります。お住まいの自治体の子育て支援課・保健センターで申込めるほか、病院や助産院が提供する産後ケアも活用できます。 |
3,000円~ / 1日 10,000円~ / 1泊 (助成ありの金額) |
産後ドゥーラ | 産後の家事手伝いや育児相談などを継続的にサポートするシステム。「産後ドゥーラ利用費助成制度」という形で、利用費を支援する自治体が増えています。産後だけでなく、産前からサポートをお願いできる場合もあるので、調べてみてください。 |
6,000円~ / 2時間 (うち、自治体助成額は数千円程度) |
新生児訪問 | 生後4カ月までの乳児がいるすべての家庭を助産師・保健師が訪問し、赤ちゃんの体重測定や育児相談などを受け付けます。 | 無料 |
※掲載の行政サービスは一例であり、提供されているサポートや料金については自治体によって異なる場合があります。